人生は旅――生きる知恵を学んだインド、アメリカ、イスラエル、日本など
- 著者
- 後 恵子
- サイズ
- A5判
- 頁
- 192ページ
- 製本
- ソフトカバー
- ISBN
- 978-4-86000-513-9 C0095
- 発行日
- 2024/04/01
- 本体価格
- 1,800円
「月日は百代の過客にして、行きかふ年もまた旅人なり」―と書いた芭蕉は
親しんだ江戸から出て、人々や自然との出会いを句にした。
現代の後 恵子さんは親しんだ日本から出て、異国を巡りあるいは住み、
このエッセイを書いた。旅することは裸の自分を異国にさらしひりひりする
感性で新しい世界と出会うことである。
読者はいつのまにか遠い異国を巡る体験を共有している。人生が出会いの
なかで、本当の自分を探す旅であることを実感できるだろう。
Chapter 1
インド ――生きるということ
Chapter 2
アメリカ ――未知の可能性を求めて
Chapter 3
イスラエル ――ユダヤ暦五七四二年の地で
Chapter 4
トルコとエジプト ――不自由なイスラム式トイレ
Chapter 5
世界を巡って、日本で考えて
(目次より)
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ユダヤ暦五七四二年、西暦一九八二年七月二十三日に、私はイスラエルの地に足を踏み入れた。
モーゼがイスラエルの民を率いて、シナイ山に向かった荒野の地に想いを馳せながら、草木も
生えない黄土に目をやる。乾ききった土は木を枯らし、バスはその間をエルサレムへと走り続け
た。
小高い丘の斜面には、第三次中東戦争の残骸が横たわる。悲惨な戦争を忘れまいと、装甲車の残
骸を一掃せず無惨な姿をさらしたままだ。戦いはやめたいと誰もが考えるのだが、どこかでいつも
戦いは続く。
丘の上の木々は、ところどころに低く這いつくばるように生えている。植林しなければ自然に生
えることのない砂漠地。
夕日が沈み切ってしまうと、ユダヤの安息日が始まった。交通が止まり、店も閉まってしまった。
僅かに個人の車だけが、スピードをあげて走っていく。
(イスラエル「荒野をバスでエルサレムへ」より)
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● 著者について ●
後 恵子(うしろ けいこ)
1945年生まれ。関西学院大学卒。英国オックスフォード大学、ドイツハンブルク大学留学。
大阪経済大学、神戸学院大学、神戸芸術工科大学、愛知工科大学、愛知大学などで教える。
英語・ドイツ語の通訳:国際技能大会、国際電子顕微鏡学会、国際高速鉄道総会など
翻訳児童文学「世界の子どもたち」主宰、詩誌「RIVIÈRE」「プライム」同人、Hope Japan(NGO)元代表
著 書:『ヨーロッパの生活と文化』『ネパールの生活と文化』
詩集『ファラオの呪い』『文字の憂愁』『レクイエム』『カトマンズのバス』
『地球のかたすみで ―モザイク都市』(共著)
『地球のかたすみで ―モザイク都市』(共著)
翻訳書:世界の子どもたちシリーズ(1)『風がわりなペット』(2)『ゴゴは踊るラバ』(3)『どうぶつのなる木』
『アジアのおはなし、読んでみよう』『手回しオルガン弾き』(低ドイツ語訳詩集)『秋の構図』(共訳)ほか
編注書: Francis King, Hard Feelings and Other Stories/Jean Rhys, Sleep It Off Lady ほか