日溜まりの中の灰戸田和樹詩集
- 著者
- 戸田和樹
- サイズ
- A5判
- 頁
- 176ページ
- 製本
- ハードカバー
- ISBN
- 978-4-86000-526-9 C0092
- 発行日
- 2024/11/10
- 本体価格
- 2,200円
この頃、書いていると、なんだかほんわかと、
温いものが立ち上がってくるような気がしています。
そうして書きあがった詩は、まるで、
日溜まりの中に降り積もった人生の「灰」のように感じられます。
その「灰」が時折、風に吹かれて、ふんわりと舞い上がるのです。
(「あとがき」より)
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ぼくは岬の突端に繋がる赤字電車に乗って
過ぎ去った青春時代の思い出を
確かめに来たのだ
あの頃と変わらない何かを探し求めて
恋人が住んでいた町
かつて一緒に歩いた赤茶けた砂地の道
青い海を背景に立つ白い灯台
――灯台から見える夕陽がきれいなの
あなたと一緒に見たいと思って
女の話を聞いている初老の男の影が
黙って頷いている
白髪の
どこかで見たような猫背の後ろ姿に
ぎょっとして
自分の窓映りの顔を見直してみる
糸を引くように降り続く雨の向こうに
灰色に煙る灯台の先端がわずかに見えている
(「灯台がある町」より)
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● 著者について ●
戸田 和樹(とだ かずき)
1954年 愛知県に生まれる
1977年 京都教育大学教育学部卒業
京都市立小学校を経て、京都教育大学附属京都小学校(現、教育大学附属京都小中学校)に勤務後、退職
関西詩人協会会員/メール通信「文学波」主催
著書
2003年 詩集『はんなりとした人々』二上書房
2006年 詩集『嘘八景』新風舎
2006年 童話『ゆーみぃちゃん ―きせつをめぐる10のおはなし―』新風舎
2007年 童話『ゆーみぃちゃんのすてきなともだち』新風舎
2007年 記録『まなざし ―亡父戸田光雄が残してくれたもの―』私家版