アニメ地域学
- 著者
- 奥野一生
- 叢書名
- 新ソフィア叢書 No.6
- サイズ
- A5判
- 頁
- 320ページ
- 製本
- ソフトカバー
- ISBN
- 978-4-86000-512-2 C3325
- 発行日
- 2023/12/25
- 本体価格
- 2,800円
新ソフィア叢書 №6
Animation Regionology
アニメツーリズムのテキスト・ガイドブックに!
アニメ聖地88カ所・新旧地形図128点掲載!
(1)アニメ地域の分布と意義
(2)アニメ地域の作者・作品と意義
(3)アニメ地域のモニュメント像と材質
(4)アニメ地域のミュージアムとモニュメント通り
(5)アニメ地域のマンガコレクション収蔵図書館
(6)アニメ作者の生年、没年、作品の生年、施設設置時の作者年齢
(7)アニメ地域のアニメによる鉄道・空港・航路の活性化
(8)本書で取り上げたアニメ地域88地域以外の聖地地域例
(目次より)
「アニメの聖地」は、大きく、作品の舞台となった場所と作者の出身地や居住地となった地域が代表例で、その両方が重複した典型例が、郊外都市である埼玉県春日部市を舞台とした「クレヨンしんちゃん」と同じく郊外都市である東京都調布市や地方都市である鳥取県境港市を舞台とした「ゲゲゲの鬼太郎」、大都市内である福岡県福岡市西新や東京都世田谷区を舞台とした「サザエさん」、同じく大都市内の東京都葛飾区を舞台とした「こちら亀有公園前派出所」「キャプテン翼」、地方都市である静岡県清水を舞台とした「ちびまる子ちゃん」、地方都市である秋田県横手市を舞台とした「釣りキチ三平」、地方町である北海道浜中町を舞台とした「ルパン三世 霧のエリューシヴ」の各作品です。また、「鉄腕アトム」は、作者の居住地である兵庫県宝塚の情景が、「進撃の巨人」は、作者の出身地である大分県日田の情景が、作品誕生に大きく影響したとされます。(中略)複数の有名漫画家を輩出し、キャラクター像や記念館が設置・開設されている都県の事例としては、秋本治氏と高橋洋一氏(東京都葛飾区)、水島新司氏と高橋留美子氏(新潟県)、藤子不二雄Ⓐ氏と藤子・F・不二雄氏(富山県)、青山剛昌氏と水木しげる氏(鳥取県)、やなせたかし氏と横山隆一氏(高知県)、長谷川町子氏と松本零士氏(福岡県)、麻生豊氏と諫山創氏(大分県)、尾田栄一郎氏と那須良輔氏(熊本県)があり、それらの区や県は「漫画」「アニメ」王国と称されます。東京都豊島区は、多くの漫画家が居住した「トキワ荘」があったことから、「マンガの聖地としま!」と、東京都練馬区は、東映動画の所在から、「日本アニメーション発祥の地」とされます。このように作品の舞台や作者の出身地、さらには作品の制作地・作者の居住地といった、「地域」が「アニメ」を生み出し、「アニメ」ゆかりの「地域」に人々が訪れる、そこから、「アニメ」と「地域」の相互関係を考察することの重要性が指摘されることとなりました。そこにも、「アニメ地域学」を研究対象として取り上げる存在意義があるといえます。
(「はじめに」より)
『新ソフィア叢書 No.5 人文・社会地域学』竹林館,2023年発行