言葉の花火 2021関西詩人協会 日本語・英語アンソロジー
- 著者
- 関西詩人協会/編
- サイズ
- A5判
- 頁
- 130ページ
- 製本
- ソフトカバー
- ISBN
- 978-4-86000-462-0 C0092
- 発行日
- 2021/12/01
- 本体価格
- 2,000円
関西詩人協会 日本語・英語アンソロジー
An Anthology of Japanese and English Bilingual Poems from Kansai Poets' Association
言葉の花火2021
FIREWORK POEMS Ⅷ
2000年から始まった3年ごとの翻訳詩集
左に英語詩、右に日本語詩。関西詩人協会から世界へ――
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世界中が新型コロナウイルスのパンデミックに覆われているなか、これを書いています。日本では緊急事態宣言が出たり解除されたりの繰り返しで、なかなか先の見えない現状です。
そんな今、関西詩人協会の日・英語翻訳詩集『言葉の花火』は第8集を出版する運びとなりました。三年に一度の出版ですので、第一集からはや24年を経過したことになります。ステイホームを強いられ、人と人とが集うことがままならない今、できることは何か。幸いわたしたちは詩人の団体ですので、書くことだけは自由です。そして、コロナ禍の今、同じような苦しみを味わっている世界に向けて発信することは、詩人の使命であるかもしれません。
「ことば」とは何かとよく思います。ことばは人と人とを結ぶ橋、同じ人間同士として、思いを共有するために、離れた別々の岸を結ぶようにことばはあるのでしょう。ここに書かれた創作者の熱意が橋となって誰かの胸に届きますように。そして、願わくは、希望の虹の架け橋となりますように、願ってやみません。
関西詩人協会代表 左子真由美
(「はじめに」より)
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Translators:
Norman J. ANGUS
KITAOKA Takeshi
MIZUSAKI Noriko
SAITOH Akinori
YAKUSHIGAWA Koichi
YAMAMOTO Yumiko
ARIMA Takashi/有馬 敲「The Lord of Creation/万物の霊長」
ATARUSHIMA Shougo Nakashima Shougo/あたるしましょうご 中島 省吾「Kyoko 2021/京子二〇二一」
ENDO Kazue/遠藤カズエ「Crisis/禍」
FUJITANI Kei-ichiro/藤谷恵一郎「A Grain of Sand/一粒の砂」
FUKUDA Kei/福田ケイ「The Lion of The West House/西の家のライオン」
FUNABIKI Hidetaka/船曳秀隆「At An Oxford Gala Dinner/オックスフォード大学のガラディナーで」
FUNAKOSHI Takaho/船越貴穂「Fake Living/似セ物の生活」
GOYA Hiroshi/呉屋比呂志「The Sunken World That Lies in The Pond by The Foot of The Mountain/山裾の池に世界は沈んでいる」
HATANAKA Akio/畑中暁来雄「Spring Sigh/春の溜息」
HIRANO Suzuko/平野鈴子「Rambling/そぞろ歩き」
ICHIHARA Reiko/市原礼子「Book/本」
INOUE Yoshiko/井上良子「In The Fragrance/かおりのなかで」
KASHIHARA Satoru/かしはらさとる「That Time, That Day/あの日あの時」
KATO Chikako/加藤千香子「Ta/TA」
KAWAI Makiko/河合真規子「In The Season When Light And Dark Intersect/光と陰が交差する季節に」
KINOKUNIYA Sen/紀ノ国屋 千「Despair/絶望」
KITAGUCHI Teiko/北口汀子「From Afar/遠くから」
KITAMURA Kou/北村こう「To Boris Karloff And Peter Cushing/ボリス・カーロフとピーター・カッシングに。」
KIYOSAWA Keitaro/清沢桂太郎「Silence/沈黙」
KUBO Toshihiko/久保俊彦「Whale Alice/Whale・アリス」
MAKITA Hisami/牧田久未「When I Was A Precocious Child/私が大人びた子供だった頃」
MIURA Chikako/三浦千賀子「Bathing Care/入浴介護」
MIZUNO Hikaru/水野ひかる「Poppies/芥子の花」
MIZUSAKI Noriko/水崎野里子「Your Eyes/あなたの瞳」
MIZUTANI Yumi/水谷有美「Cicada Chorus/蝉時雨」
MORI Chifuku/森 ちふく「Tree Sounds/樹 音」
MORIKI Lin/森木 林「Sky/そら」
MORITA Yoshiko/森田好子「That Star-spangled Night/満点の星空」
NAGAI Masumi/永井ますみ「Flying Fish/飛びうお」
NAKO Kiyoe/名古きよえ「Compassion in Autumn/秋の情け」
NANJO Hiroshi/南条ひろし「My Hope/僕の願いごと」
NISHIDA Ayako/西田彩子「Teru/照くん」
NISHIMOTO Megumi/にしもとめぐみ「Irresistible Feeling/とめられない想い」
OKAMOTO Mitsuharu/岡本光明「The Film/フィルム」
OZAKI Makoto/尾崎まこと「Snake/蛇」
SAGA Kyoko/嵯峨京子「Mother And Daughter/母と娘」
SAITOH Akinori/斉藤明典「The Mind's Eyes And Ears/心の眼・心の耳」
SAKO Mayumi/左子真由美「None of Us/誰ひとりとして」
SASAKI Yutaka/佐々木 豊「Reminiscence/思い出」
SEKI Nakako/関 中子「The Unkempt Garden/気ままな庭」
SENO Toshi/瀬野とし「Going To See You/会いにゆく」
SHIMA Hideo/島 秀生「Anonymous Monument/無記名の慰霊碑」
SHIMOMAE Koichi/下前幸一「A Crepuscular Morning/薄明かりの朝」
SHIRAI Hikaru/白井ひかる「Call Me Amanda/わたしの名前はアマンダ」
SHIRAKAWA Yoshi/白川 淑「“Others Are Others..."/『人は人・・・』」
SONODA Emiko/園田恵美子「Nandina Leaves/ナンテン」
TAI Chihiro/田井千尋「Excerpts from Ayara Kinshū/綾羅錦綉(一部抜粋)」
TAJIMA Hiroko/田島廣子「A Red Blaze of Canna Flowers/真っ赤に燃えるカンナの花」
TAKAMARU Motoko/高丸もと子「On A Sunny Day/晴れた日に」
TAKENISHI Yoshikazu/武西良和「Bullet Train Needlework/新幹線の針仕事」
TANAKA Shinji/田中信爾「Listening to Glen Gould/グレン グールドを聴く」
TONOMURA Bunsho/外村文象「Greeting The New Year/新しい年を迎える」
TSUKASA Yui/司 由衣「A Broken Twig of Blossom/花折れ」
USHIRO Keiko/後 恵子「Corona And This Abnormal Life/コロナ禍の異常な生活」
YAMAMOTO Yumiko/山本由美子「Signs/気配」
YSUMORI Sonoko/安森ソノ子「The Chestnut Grove/栗林」
YOSHIDA Tei-ichi/吉田定一「Catch Ball/キャッチボール」
YOSHIKAWA Etsuko/吉川悦子「Schools And Their Pupils in COVID/コロナ禍の学校と子ども達」
おわりに当たって翻訳者を代表して一言ご挨拶いたします。
翻訳者として仕事をしていますと、否応なく、二か国語の違いを痛感いたします。それは、言葉の持っている形や表記法の違いと言うだけでなく、その言葉の周りに漂う気配と言うか、空気と言うか、風土と言うか、なんとも言えないもやもやしたものがいつまでたっても消えない感じがするのです。何とかしてそのもやもやを違う言葉に移し替えようとするのですが、うまくいった試しはありません。今回も翻訳者はどなたも靴の上から痒いところを搔いている感じが残っておられると思います。
校正をさせて頂いている私も、アンガス先生も、完全に満足しているわけではありません。それでも何とか痒いところに指の端でも届くように努力をしてきたつもりです。
ただ、翻訳しやすい作品と、なんともし難い作品とがあるように思います。日本語がすっきりと内容を伝えてくれない場合です。これは、読者の責任なのか、作者の責任なのか、判りません。翻訳している場合、私はいつも自分の経てきた歴史の浅薄さをひしひしと感じるのです。
詩は、印刷された瞬間作者の手を離れて個々の読者の手にゆだねられます。作者は人手に渡った作品の責任も引き受けねばならないのですし、読者は自分の生涯のすべてを傾けて作品に向かわねばなりません。その間に立って仕事をする翻訳者の仕事は何とも罪の深いものだと、いつも痛感するのです。
コロナが猛威を振るう中での翻訳作業は、例年と激しく異なるものでした。言い訳にはなりませんが、アンガス先生と二人でまとめの仕事をさせていただいた今年の経験は忘れがたいものとなるでしょう。
英訳詩について様々なご批判もあろうかと思います。全ての責任は薬師川にあります。どうぞ忌憚のないご意見を賜れば幸甚に存じます。
――― 薬師川虹一
(「おわりに」より)