真摯の刻(とき)吉田國厚詩集
- 著者
- 吉田國厚
- サイズ
- A5判
- 頁
- 136ページ
- 製本
- ハードカバー
- ISBN
- 978-4-86000-457-6 C0092
- 発行日
- 2021/10/01
- 本体価格
- 1,800円
よきこともなくをはるみのひとりかげ
ありし真摯のときをさまよふ
―――プロローグ
吉田さんの詩には、天性の骨太さに加えて、事象を掴む鍛えられた
ことばの腕力があり、大地を踏まえることばの脚力がある。本詩集
の通奏低音は、「諦念」ではなく、今生を生き抜く先の「覚悟」で
あると言えるだろう。そして「詩は生き延びよ! 」という声までも
聞こえるようだ。
(左子真由美)
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僕の平穏はもうなかった
現実には一度もなかった団欒の図
ああ怨みよ とり憑け
怨みよ 狂(ふれ)よ
生い繁った樹々が
中央を奥に向かう一本の道に覆いかぶさる風景画は
同じ作者が兵営に発(た)つ一日前に描きあげたものだ
その真直ぐな道は
画面を真横に流れる大河に
没している
この絵もまた現実にない空想の風景であるが
憤(いかり)と怨(うらみ)を
家族に遺した彼の精神に因って
僕はようやく精神に平衡をとりもどした
「戦没画学生の絵」より
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● 著者について ●
吉田國厚(よしだ・くにあつ)
1940年3月3日生まれ。
1995年、朝日カルチャーセンター「うたう詩を書く」教室・
島田陽子講師から江口節講師「詩を読む 詩を書く」教室に通う。
のち、中島和子講師「たのしい童話の書き方」教室、上辻蒼人講師「健やか交流塾俳句教室」に通う。
島田陽子講師から江口節講師「詩を読む 詩を書く」教室に通う。
のち、中島和子講師「たのしい童話の書き方」教室、上辻蒼人講師「健やか交流塾俳句教室」に通う。
著書 詩集『太郎を眠らせ』(2013年 編集工房ノア)