腹話術師金鍾泰(キム・ジョンテ)日本語詩集
- 著者
- 金鍾泰 詩/韓成禮 訳
- 叢書名
- 現代アジア詩人選
- サイズ
- 140ミリ×190ミリ
- 頁
- 176ページ
- ISBN
- 978-4-86000-402-6 C0292
- 発行日
- 2019/05/05
- 本体価格
- 1,200円
現代アジア詩人選 №1
かように濁りのない言葉、精錬された言葉に、
日本の現代詩は驚き、嫉妬するだろう。
この詩人は自分の経験してきた人生を歌いながら生成と消滅、生と死、存在と不在などの相反する属性が一つの体として結び付いているという複合的な事実に注目し、私たちの生の底辺で渦巻いている審美的な激情をかたちにする。このようにして、すべての対立するものたちの境目を徐々に消していきながら、その対立する形質たちが実存を構成する上でなくてはならない両面的属性であることを、一つずつ証言していく。この過程を通して浪漫的な遊牧と古典的な洞察を結合させ、消失点を透過してきた存在する極点を鮮烈に表現している。
やさしい言語で感動を与えつつ、私たちに深い世界を示してくれる金鍾泰の詩が、日本の読者からも愛されることを願っている。
(韓成禮「訳者の言葉」より)
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星の光に向かったすべての獣の声は 根源的に悲し
みの枠に閉じ込められています その境界から抜け
出そうとあがく時が 見慣れた悲劇の発端になるの
です 私たちは今日 声もなく歌わなければなりま
せん その音域の高低がどこまでなのか分からなく
ても 私たちは明日道なき巡礼に発たなければなり
ません
(「腹話術師へ」より)
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● 著者について ●
金鍾泰(キム・ジョンテ)
1971年大韓民国慶尚北道金泉市で生まれる。
高麗大学校国語教育科及び同大学大学院国語国文学科修士、博士号を取得(文学博士)。
1998年《現代詩学》にてデビューした。
詩集『故郷を離れてきたものたちの夜道』『五角の部屋』、
評論集及び研究書『文学の迷路』『韓国現代詩と叙情性』など多数の著書と論文がある。
〈青馬文学研究賞〉〈詩と表現、作品賞〉を受賞。現在、湖西大学教授。