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【絶版】余韻神田好能詩集

著者
神田好能
サイズ
四六
178ページ
ISBN
978-4-86000-113-3 C0092
発行日
2006/11/30
本体価格
1,600円

個数  


      【 完売しました 】



   母のようにやさしく

   大地のように強く
   ふるさとのように暖かく
   少女のように可憐に

   豊かな表情で謳いかけるポエジー

     真夏日は続く

  朝の早いボスの甘え声は五時
  ほんのかすかな声なのに
  夫はしれにこたえて
  いそいそ嫌々か起きる

  ほのあかりのなかへ
  ふたりが散歩に出ていった後
  ベランダのまだ涼しい時間帯
  ゆうべの洗濯物を乾す
  真夏日三十七日が続く
  下に自転車をこいでゆく人がある
  まだみんな寝ている時間なのに
  上から見ていると
  なにか必死に脚を動かしているような
  あの細身の男性は
  いま誰の為に自転車を走らせるのか
  肩に力を入れてふんばる男
  いま自分を生きているのだろう

  幼い子供の待つ家があるのだろう
  笑顔の可愛い奥さんがいるのかしら
  平和はいいなあ
  家族に見送られてきたのかしら
  脇目もふらず自転車をこぎ
  汗をかいているひと
  あの人にもきょうの幸せと
  あしたの平和が続くように
              1995年8月25日