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原 圭治自選詩集

著者
原 圭治
サイズ
四六
188ページ
ISBN
978-4-86000-127-8 C0092
発行日
2007/08/15
本体価格
1,800円

個数  

第一詩集のはじめに置かれたこの詩が、予言しているかのように、孤立ではなく「連帯への強い意志」が詩人の58年間に渡る詩業を支えている。これを可能にしているのは、氏の自・他を相対化する批評の眼、動かしがたい土塊(リアル) を見つめる眼、そのむこうの太陽(時代の希望)を見上げる眼、時間と空間を駆めぐる想像力、そして強靱な言葉の筋肉(文体)である。
 本詩集は、自閉へ傾斜しがちな現代詩にとって貴重な財産となるだろう。
長年、反戦の意思を秘め、抒情にもすぐれた業績を持つ著者の自選詩集。

ギャンブラー

人生を 長い楕円の柵だと考えるな

赤・青・黄・緑
色とりどりの帽子が見られても
賭ける馬はいないのに
どうしていつも発馬のベルを鳴らすのか

遠い向うには
かぎりなく美しく見える
真っ白い旗が立てられ
一斉に おれたちは馬になって
スタート線に首をならべ
ベルが鳴って
黄色い旗が降り降ろされ
騎手の腰が 背で軽く浮くと
二十世紀の半獣神は
蹴られた横ッ腹から走り出していくのだ(以下 略)