白い影リジア・シュムクーテ詩集
- 著者
- リジア・シュムクーテ 著/薬師川虹一 訳
- サイズ
- 140ミリ×190ミリ
- 頁
- 152ページ
- ISBN
- 978-4-86000-434-7 C0098
- 発行日
- 2020/06/20
- 本体価格
- 1,800円
Lidija Šimkutė
Weiße Schatten
White Shadows
リジア・シュムクーテ詩集の翻訳は、これで6冊目である。去年の10月に『沈黙の空白』を出版してからまだ半年にならない。いささかのめり込んでいる感じがするが、それほど彼女の詩は魅力的だと言える。何がそれほど魅力的なのかと言えば、彼女の詩の言葉数の少なさ、と言えるかもしれない。近頃の詩は言葉数の多い作品が目立つ。私見で恐縮なのだが、素晴らしい言葉を紡ぎだすことに、いささか詩人自身が酔っているような感が無きにしも非ず、と思える。そんなときに彼女の詩は何とも言えない清涼剤になってくれる。
(「訳者あとがき」より)
・゜・。・゜。・。・゜・。・゜。・。・゜・。・゜。・。・゜・。・。・。゜・。・゜。・・。・。゜・。・゜。・。・゜・。・゜・。・゜。・。。・
I DRAW WHITE SHADOWS
on black ground
The pollow creases into
words of sleep
私は白い影を描く
黒い地面に
枕のしわが
睦言になる
・゜・。・゜。・。・゜・。・゜。・。・゜・。・゜。・。・゜・。。・。゜・。・゜。・・。・。゜・。・゜。・。・゜・。・゜・。・゜。・。。・
● 著者について ●
リジア・シュムクーテ
リジア・シュムクーテは1942年にリトアニアのサモギチアにある小さな村に生まれた。
彼女の両親は第二次大戦中リトアニアを離れて、1949年にオーストラリアにたどり着いた。
彼女は幼い頃、ドイツ、イタリア、オーストラリアなどの難民キャンプで過ごした。彼女は今、管理栄養士として働いている。
シュムクーテは1973年から1978年までシカゴにあるリトアニア言語文化学院で、さらに1977年と1987年にはヴィリニュス大学で、リトアニアの言語と文学を通信教育で学んだ。
彼女は広く世界を回り多くの著作を出版し、多くのアンソロジーなどにも収録されてきた。
シュムクーテは三冊の詩集をリトアニア語で、『沈黙の空白』と題した一冊をリトアニア語と英語とのバイリンガル版で出版している。同書は薬師川虹一による日本語訳を得て、英語と日本語とのバイリンガル版でも出版されている。なおバイリンガルの詩集が数冊出版予定である。
彼女はまた多くの国際詩祭のメンバーとして参加し、オーストラリア文化協会や南オーストラリア省などから文学賞を受けている。
● 訳者について ●
薬師川虹一(やくしがわこういち)
1929年京都に生まれる。詩人、随筆家、写真家、翻訳者(フィリップ・ラーキン、シェイマス・ヒーニー、テッド・ヒューズ・リジア・シュムクーテ等)、英文学者(イギリス・ロマン派詩人の研究)、同志社大学名誉教授、詩誌「RAVINE」前編集同人。日本詩人クラブ名誉会員。日本バイロン協会名誉会長。国際バイロン協会前理事。
受賞歴:京都芸術文化協会賞
日本翻訳家協会特別賞
瑞宝中綬章
出版書:詩集『疲れた犬のいる風景』他
詩と写真集『石仏と語る』他
研究書『イギリスロマン派の研究』他