美しい本作りならおまかせ下さい。自費出版なら「竹林館」にご相談下さい。

出版社 竹林館  ホームへ戻る

  • お問い合わせ06-4801-6111
  • メールでのお問い合わせ
  • カートの中を見る
ホーム > 詩歌 > はてしなき旅人

はてしなき旅人永良弘市朗詩集

著者
永良弘市朗
サイズ
A5判
120ページ
製本
ソフトカバー
ISBN
978-4-86000-323-4 C0092
発行日
2015/12/12
本体価格
2,000円

個数  

Nagara Koichiro

 

詩人永良弘市朗は、文学的求道者である。市井の中に深く沈んで、

人生の喜怒哀楽を、平易な日常的言葉ですくい上げている。

詩はなんでもない言葉で、なんでもない日常的意識を超えた世界を

表現する営為だが、詩人は七十数年の人生をこの道一筋に生きてきた。

その真摯な生きざまが一編一編の作品に結晶している。

 

野呂

 

 

 □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□

 

 

座禅を組んだ僧

無我の境地が

目をつぶった先からもれてくる

今までの苦しみが

耐えて流れた時間を揺り動かし

膨らんできた高揚を準備している

そこには

冬に閉ざされた想い

雪のふり積もったこころも柔らかく

 する

静けさの空虚さを満たす沈黙の花は

あつい思いを信じて

探り当てた遠い春を

呼び戻すことはないだろう

 

ひっそりと待っている湿地に

春を呼び込む風が流れてきた

 

(「ザゼンソウ」より)