人間性未来論―原型共同体で築きなおす社会――原型共同体で築きなおす社会―
- 著者
- 中田豊一
- サイズ
- 四六判
- 頁
- 310ページ
- 製本
- ハードカバー
- ISBN
- 978-4-86000-131-5 C0036
- 発行日
- 2007/11/11
- 本体価格
- 2,400円
現代人はなぜうまく
コミュニケーションが取れないのか?
現場の教師、福祉に携わる方々、
人間関係で悩むあなたへ―
国際協力事業の活動と要請によって培われた
コミュニケーションのメソッドを伝える
目からうろこの実践的人間関係論!
このごろまた、テレビで「男はつらいよ」の映画をよくやっている。フーテンの寅は頭もよくないしたいした稼ぎもない男だが、こと「さびしさへの共感能力」となると他を寄せ付けない。そう、人情は性格ではなく「能力」の問題なのだ。一見、よけいなお世話に見える寅さんの言動だが、やがてそれが冬のアスファルトのように固くなっていた人の心を溶かしていく。ここに人情の真骨頂、人間性の真髄を私たちは見る。(中略)
「他者のさびしさに共感する感受性とそれに反応して行動する心的エネルギー」。これこそが途上国の人々の人情の核心であり、私たちの社会で失われつつある「人間性」のエッセンスなのである。
ではこの心的エネルギーは、どのようにして私たち人間の心に飢え付けられたものなのだろうか。そのエネルギーはいったい何のために働くのだろうか。 (本文より)
目 次
はじめに 国際協力の現場からの問いかけ
<近代化は人間性を奪うのか>
第一章 原型共同体と人間性
さびしさへの感受性が人情の核心
ヒトはコトバによって人間になった
自己意識の誕生という危機
寛大ゴッコの場としての原型共同体
第二章 心のセーフティネット
現代に息づく石器時代の心
経済発展に共同体は邪魔か
人間性の砦を守るために
第三章 自己意識の不安定化と家族の危機
核家族主義が生み出す究極の不平等
家族幻想を超えて
子どもが死なない社会とその未来
第四章 相互扶助と人間性の未来
いかにして「W」が「M」になるのか
援助する者とされる者の感受性
人間の現実を構成する三つの要素
エピローグ 対等感満ちる市民社会を目指して