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【絶版】抒情詩 イソップの詩法今 猿人詩集
- 著者
- 今 猿人
- サイズ
- 文庫
- 頁
- 100ページ
- 製本
- ソフトカバー
- ISBN
- 978-4-86000-136-0 C0192
- 発行日
- 2007/11/01
- 本体価格
- 800円
【 完売しました 】
すべてが比喩である…
という激しい、抒情
――そのまっすぐさが、読む人に勇気を与える
現代詩が修辞の時代といわれてから
ほとんど失われてしまった言葉の奥行きと抒情。
言葉の奥にあったものとは一言でいえば
詩の背後にある詩人の「人生」であった。
逆説的であるけれど、今さんは
「人生の現象のすべてが比喩である」という
喪失の悲哀において、抒情の言葉を紡ぎだし詩を回復している。
そのまっすぐさは驚異的でさえあるが、
読者は、同時に比喩の平面(ことば遊び)から抜け出せないでいる
現代詩へのアイロニーであることに気がつくだろう。
《時が流れた
それは一つの比喩だ》
目覚めたばかりのウサギが山嶺を仰ぐ
永遠の先までも亀の姿は見えない
亀は万年を生き
ウサギは五巡目の冬ごとに死ぬ
天文学的な距離のかなたにゴールを主張した亀の思惑
ウサギは一時間に二十キロを駈け
その間亀は二百メートルの移動をする
勝利の決まったはずのレースに後悔するウサギの愚鈍さ
(「イソップの詩法」より)